【新田恵海LIVEレポート】ありったけの感動と、そして感じた、息苦しさと。【EMUSIC~つなぐメロディー~】

      2016/09/26

僕はあまりにも、新田恵海という人を知らなかったなと思った。
µ'sのセンターポジションで、いつも明るく、みんなを引っ張っていける存在だったえみつん。
µ'sにインタビューをすれば、一番多く名前が挙がるのが彼女だそうで、間違いなく、彼女以外のセンターは考えられなかっただろう。
たまに見せるちょっぴりドジな面を含め、僕はえみつんに、プラスのイメージしか抱くことはなかった。
だからこそ、なのかは分からないが、僕はこのライブで、多くの感動と、そして息苦しさを感じることになったのかもしれない。

2016年6月4日、「新田恵海 LIVE 2016 EAST EMUSIC~つなぐメロディー~」がパシフィコ横浜で開催された。僕自身は、えみつんがソロで歌う姿を見るのは、昨年のアニサマ以来二度目だった。
『盟約の彼方』から幕を開けたそのステージに、僕は一瞬で引き込まれた。こんな軽いことを書くのは恥ずかしいのだが、一番初めに抱いた感想は「うわ・・・やっぱり、えみつんめっちゃ歌うめぇ・・・」であった。えみつんの歌い上げる「あなたを守れるなら、悪にでもなる」は、どうしてこんなにも真に迫るのだろうか。からの、『EMUSIC』。僕が死ぬほど聴きたかった曲である。ま~、これが想像していた通り、とても楽しい。何百回でも声に出して、「EMUSIC」したくなる。開幕二曲で、アーティスト・新田恵海ワールド全開だった。

ここで一度MCを挟むのだが、ライブを通してのMCは全体的に短めだった。それだけ彼女は、歌ですべてを表現していたのだと思う。
この後続く『探究Dreaming』、『優しい世界そして未来へ』、『言葉より強く』は、まさに彼女のすごさを知らしめる上で、完璧なセットリストを構成していたのではないだろうか。強く胸に残る、「大切な人たちといつもいつも、同じ場所で夢集めたい」、「祈り続けて伝えたい、優しい世界そして未来」、「愛していると口にするたび、どこか軽く聞こえる」という歌詞たち。ただただ聴き入るほか、僕に選択肢はなかった。

その後のMCで、「EMUSIC」という言葉について説明するえみつん。「EMUSIC」は、新田恵海のすべての音楽であり、笑顔を届けたい音楽だと、力強く語っていた。えみつんはこのライブで、ゲームの曲を数曲披露していたのだが、次に歌った『HEARTFUL WISH』もその一つだ。これは新田恵海名義初の歌だそうで、新しいアルバムやシングルからだけでなく、昔の曲も大切に歌い上げる姿がとても印象的だった。
続く『想いよ届け』、『想像を超えた世界』あたりで僕は確か、思わずため息をついていたと思う。歌で訴えかけるパワーのあまりの強さに、圧倒され続けていたからだ。それほど、彼女が作る歌の世界は強烈なのである。だから僕は、次のMCでえみつんが「私に手加減は似合わない!」と宣言したとき、「これ、ホントやっべっぞ」と笑うしかなかったし、あまりのワクワク感に身体がぶっ壊れそうだった。そのままバンドメンバーを紹介し(メンバー全員、紹介されたときに全く音を出さなくて、「お、珍しいな!」と小学生並みの感想を抱いたことを一応記しておく)、パシフィコのステージの階段に座り9曲目『スピカ』を優しく届けるえみつん。前半だけで、あまりにも完成されたステージだった。

後半は、ムービーから始まった。正直僕は、ここのムービーの意図を完璧にくみ取ることができず、かなり悔しい想いをしているのだが、とりあえず、幻想的な映像の中に現れる緑のえみつんを見て、「これ、頭、魚に食われてね?」という感想を抱いた僕は本当に駄目だと思う。しかしどうやら、そのえみつんは一部では「キャベつん」などと呼ばれ、確かに何かしらの「芽」なのか、「野菜」なのか、だとしたら魚に見えた俺、相当頭おかしいわと、一人ウンウン唸った部分でもある。『笑顔と笑顔で始まるよ!』で再び登場したえみつんのバックムービーには、ひまわりが咲き誇っていたので、やはりどうやら、「芽」説が正しい、っぽい。ひどい感想だな、これ。


↑これ、頭、魚に食われてね?

お次の『Rainy*flower』を含め、特にここの二曲は、えみつんが鬼可愛かった。やっぱりえみつんは、笑顔が似合う。黄色の傘を振って踊りながら歌っていた『Rainy*flower』は、本当に歌詞が素晴らしい。「みんなが嫌う雨降りも、わたしは大好きだもん。それもひとつの才能、なんてポジティブですか…?」という部分が特に愛おしい。歌に愛おしさを感じさせてくれるえみつんはやはり、偉大である。

五度目を数えるMCで、衣装チェンジを果たしたえみつんは、「回る?回る?」と自分からクルッと回転してみせて、ここでようやく僕は「(無知な僕でも)知ってるつんさんがいる!」などと、少しホッとしたものだ。『Dear everyday』でも素敵な姿を見せてくれたえみつんだったが、次のMCで悲報が伝えられる。1stライブでカメラで写真を撮りながら歌う楽曲があったのだが、そこで撮ったはずの写真が、いっさい撮れていなかったのだという。「言い訳させてください」と釈明を開始するえみつん。ライブが盛り上がりすぎたため、使用していたトイカメラの音が聞こえず、撮っていた気になっていたドジつんの発動である。今回はそのリベンジということで、デジカメを買ってもらったと嬉しそうに話すえみつんを見て、自身の胸のつっかえが取れた音がした。終わってから分かったのだが、先のほうでも述べた通り、僕は多少の息苦しさを覚えていたらしい。首にデジカメをかけたえみつんは、『WONDER! SHUTTER LOVE』を歌いながら、会場を撮り始める。「シャッター切って残したい、この想いも全部」。会場のえみんちゅは、その歌に応えるように、えみつんに笑顔を向けていた。

14曲目となる『きらめきを夢みて』では、大合唱がえみつんを包んだ。「運命」、「命」、「縁」という言葉を紡いだえみつんは、最後に『つなぐメロディー』で、その名の通りメロディーをつないで、ステージをあとにした。

そして、アンコールを受けたえみつんが次に歌った曲は、『世界ノ全部ガ敵ダトシテモ』。ここで触れるかどうか正直とても迷ったが、ここ数か月いろいろあったえみつんが歌い上げたこの曲は、何よりも僕の心に響いて仕方がなかった。この人のライブに足を運んでよかったと、本気で思わせてくれる曲だった。さらに、僕の大好きな、本当に大好きな、死ぬほど大好きな『NEXT PHASE』。生で聴いて、ますます大好きになってしまった。こんなに元気をもらえる曲はない。思えばこの日はずっと、えみつんに与えてもらってばかりだったなと感じながら、「CHA-CHA-CHA!」とひたすらコールした。ところで僕は、軽くメモを取りながらライブを楽しんでいたのだが、もうここの辺りから、メモには「やばい」と殴り書きしてある程度だった。それほど、やばかったらしい。

続くダブルアンコールで、もう一度メンバー紹介をするえみつん。一言一言、メンバーが感想を述べたあと、そのメンバー全員で、ライブのために作ったという新曲『暁』を初披露。

「消えない私の中に流れるメロディー、もっと奏でよと苦しいほど脈打つ

暗くて寂しくて長い夜でも、必ず新しい朝は来る」

新田恵海という人は、真面目である。彼女は僕らに、歌で感動を届けられる選ばれた人である。そして、本人はそれを自覚しているし、届けたいと強く思っている。

「私は笑顔が多いイメージの人もいると思います。でも実は、根暗で、ネガティブで、後ろ向きで、だけど馬鹿正直で、変にまっすぐで、突き進むことしかできません。」

「ここに立って、歌っているのが、私の全部です。」

「誰か一人でも歌を聴きたいと言ってくれる限り、私は歌うことをやめません。何があっても、歌は捨てません。」

僕は新田恵海という人を、ちゃんと知らなかった。自分の弱さを伝えてくれた彼女を見て、彼女の見方が、大きく変わった。
新田恵海という人は、真面目である。そして、歌で想いを届けられる、数少ない人である。だからこそ、彼女はある意味、求められる限り歌う使命があり、歌を通して、常に、新田恵海であろうとしていたのだと僕は感じる。
僕の感じた「息苦しさ」は、そういうことだった。しかしこの「息苦しさ」は、悪い意味ではない。皆に求められる新田恵海が、求められる新田恵海であろうとし続ける、覚悟。「もっと奏でよと苦しいほど脈打つ」という『暁』の歌詞は、嘘偽りない言葉なのだろう。
新田恵海の中で、消えることのないメロディーが、「もっと奏でよ」と「苦しいほど」、「脈を打っている」のだ。嬉しいほど、ではない。苦しいほど、である。その「もっと奏でよと苦しいほど脈を打つ」という彼女の気持ちは、ライブを通して、ずっと僕も感じていたものだった。
求められる限り歌うことをやめないという覚悟、僕らにありったけの元気をくれるパワー、たくさんの気持ちを伝えようとしてくれるえみつんを見て、やはり僕は、胸が詰まり、息が苦しかった。そして何より、だからこそ、あまりにも訴えかけられ、感動したのだった。
最後に『OURS POWERS』で前を向いて歌い切った彼女には、もう本当に、感謝の言葉しか出てこない。たくさんの元気と、気持ちを与え続けてくれて、ありがとう、と。

セットリスト
1.盟約の彼方
2.EMUSIC
3.探求Dreaming
4.優しい世界そして未来へ
5.言葉より強く
6.HEARTFUL WISH
7.想いよ届け
8.想像を超えた世界
9.スピカ
10.笑顔と笑顔で始まるよ!
11.Rainy*flower
12.Dear everyday
13.WONDER! SHUTTER LOVE
14.きらめきを夢みて
アンコール
15.つなぐメロディー
16.世界ノ全部ガ敵ダトシテモ
17.NEXT PHASE
ダブルアンコール
18.暁
19.OURS POWERS

次回更新予定:『AYA UCHIDA LIVE TOUR 2016 ~a piece of colors~』パシフィコ横浜公演感想

 - ライブ