【南條愛乃LIVEレポート】完成した『Nのハコ』【LIVE TOUR 2016 "N"】

   

『Nのハコ』の話をしよう。

今の南條愛乃をひとつの入れ物として見たときに、中には何が入っていると思いますか?

というコンセプトの元に作られたこのアルバム。「南條愛乃」という人を軸に、全く違う歌詞、メロディがクルクルと”浮遊”する。
歌に何を求めるのか、それは人によって違う。力強い導きだったり、寄り添ってくれる優しさだったり。
このアルバムはどうだろうか。どの方面から見ても「南條愛乃」であり、ゆえにこのアルバムはある意味異質だ。ぶれぬ軸(=南條愛乃)に集まる、振り幅のある楽曲たち。このアルバムを聴くと、南條愛乃をどう思うのか、それを考える余地が我々にも与えられる。そういう楽曲に囲まれ、かつ、自分にとっての南條愛乃を考え出すと、なんとなくふわふわする感覚に襲われるかもしれない。しかし、浮遊感ありつつも決して外さないこのアルバムへのある種の信頼感は、確固たる軸の揺るぎなさを確信するその時、それはアルバムを通して聴いた時だろうか、ライブを観た時だろうか、そこから生まれるのかもしれない。このアルバムを聴いて、ファン特有の「南條さんやっぱり大好き」という気持ちはもちろん、そこから、先にも述べた力強い導きだったり、寄り添ってくれる優しさに出逢う人もいるだろう。つまり、「南條さんもそういうこと考えるんだ」とか、「南條さんも頑張ってるから頑張ろう」とか、月並みだが、そういう考え方にだって繋がるのだ。そういう意味で『Nのハコ』は、単なる”南條愛乃ファンアルバム”と形容するには収まらない、非常に深い味わいを感じさせてくれるアルバムになっていると思う。

ちなみに、南條さんは『Nのハコ』およびライブツアーについて、

「南條愛乃はどんな人間なのかを考えなければ!!なんて堅苦しく考えないでいただきたくて(笑)。」

あのころの私と今の私――テーマは「南條愛乃はどう見えていますか?」2ndアルバム『Nのハコ』インタビュー

とインタビューに答えている。確かにこのアルバムは、聴き手に大きく答えを委ねている。南條愛乃自身が、歌によるメッセージを受信する側だからだ。じゃあ僕らも発信しよう、と考えるのが当然と言えばそうである。堅苦しく考えなくていいよという言葉は、そんな考えを見越してだろうか、どこか彼女の優しさを感じる。もっとも、この部分は本当に僕自身の勝手な解釈なのだが、考えることが好きな南條さんなりの僕らへの配慮、優しさだったら、それはもう好きのメーターが振り切れてしまう。現代語で言うのならば、尊さが爆発する。

人からの評価というものは、誰しも怖いものである。実際、南條さん自身も「同じような歌詞ばかりだったらどうしよう」という不安も口にしていた。しかしハコの蓋を開けてみれば、たくさんの「南條愛乃」像が飛び出してくる。表現のプロたちが描いた「南條愛乃」は、あまりにも魅力的で、説得力があり、さらに知らない一面も見せてくれた。ファンの目線では限界のある推しの見え方。普段「南條愛乃」と関わりのある人たちが「南條愛乃」自身について描いたものを見聞きすることにより、確信を得ることができたり、新たな発見をすることだってできる。

じゃあそれを実際、ライブで歌ったらどうなってしまうのよ。それが、今回の「南條愛乃 LIVE TOUR 2016 "N"」だった。ここでは、2016年9月19日に開催された神奈川公演について記そうと思う。

一曲目の『きみからみたわたし』、この曲の演出で、今日のライブは最高のものになると確信した。真っ暗なステージには薄い垂れ幕がかかり、南條さんをぼやけた姿でしか捉えられない。彼女の姿を見ようとする僕らに、歌詞は問いかける。「きみからみたわたしは いつも どんなふうに映っていますか?」。南條さんをもっとよく見たいという気持ちを持った僕らは、その問いへの答えを自然と探し始めていた。大切に仕上げられたライブだと、この一曲で分かった。

10年の付き合いがあるというしほりさん作詞の『灰色ノ街ヘ告グ』は、南條愛乃の決意、強さを感じさせる一曲。あまり表には出さないけれど、南條さんは間違いなく、人並み以上の強さを備えた人だろう。でなければ、ここまでの成功はついてこない。これは今回のライブツアーでほとんどの曲に当てはまることだが、『Nのハコ』の楽曲を南條さんが生で披露することにより、曲の意味合いの強さがどんどん増していくのを感じた。しほりさんから受け取ったこの曲を、その場で歌にするその光景は、まさに生きた歌詞を目の当たりにするようで、アルバムで聴いた時以上に興奮が押し寄せた。
そんな力強い曲を歌ったあとにも関わらず、ゆるいMCの南條さん。カメラがたくさん入っている旨を伝え、「客席で写りたくない人は自意識過剰で、HAHAHAHA!」と笑いながら手で目を隠す素振り。

「真・ジョルメディア 南條さん、ラジオする!」の現OPでお馴染みの『Oh my holiday!』は、南條愛乃ファンなら誰しもが頷くであろう、『Nのハコ』には絶対に欠かせなかった楽曲。ダンサーが登場し、インスタントカメラを持って会場を撮る南條さんが印象的。「せーので!」「ワッハッハ!」のコールが気持ちいい!
お次は1stアルバム『東京 1/3650』より、『Recording.』。『Nのハコ』のコンセプトがあまりにも完璧すぎて、ライブで他の曲を入れる余地がないのではないかとも思ったが、この曲は自然に溶け込んでくれた。不足しがちだったストーリー性を持たせてくれた意味でも、この曲の果たした役割は大きい。
『Recording.』では、ちょっぴり難易度の高いコール指定をしていた南條さん。ニコニコ動画の自身のラジオで、それについて混乱を招いたコメントを目にしたけど、ちゃんと入ってよかったと、さらりと言及。以降もちょくちょくラジオの話が出てきており、南條さんって本当にラジオ好きだよなと嬉しくなっちゃう僕もラジオ好き。

会場のサイリウムを全て消して、『ヒカリノ海』、『そらほしひとつ』、『ヒトビトヒトル』と続けて披露。この3曲にも色々な想いが詰まっているはずだが、心地よすぎて、目をつむってひたすら聴き入っていたので言語化不可能。ここで先ほどの南條さんの慈悲が生きてくる。「堅苦しく考えないで!」。ありがとう。甘えます。
とは言え、『ヒトビトヒトル』については言及したい。畑亜貴さん作詞のこの曲は、ただひたすらに圧倒される。畑亜貴さんの容赦なさが本当にすごい。マジで容赦ない。これ、1アーティストに押し付ける?って思うほどの曲。でも、そこは南條愛乃。この曲を歌う実力を間違いなく備えているのだ。この曲を贈っても大丈夫という畑亜貴さんの南條さんへの信頼感、そんな一面も見え隠れするこの楽曲が、僕は死ぬほど好きです。

「立ち上がってもいいですよ」と、再びヌルッとMC南條さん。うーん、この飾らない感じがたまらない。グリザイアシリーズを歌うにあたって、「アップテンポもやっていくんですね!と(ファンに)知っていただけた曲」という独特の表現。
『あなたの愛した世界』、『黄昏のスタアライト』、『きみを探しに』三曲構成のグリザイアメドレーは、一つのライブの盛り上がりとして。南條愛乃の音楽活動の一つの側面を表現するのであれば、これもまた、南條愛乃。

お次は圧巻のバンド演奏を挟んで(毎度僕のバンド描写が乏しくて泣けてくる)、真っ白な衣装に身を包んだ南條さんが登場!
問題の『idc』である。何度、思っただろう。「KOTOKOさん、ありがとう」と。トレンドマークのニット帽を被り、白のパーカー、白のスカート、厚底の靴。ダンスの振り付けが、たまらなく可愛い。「マジ、サンキュー、KOTOKOさん」。役者・南條愛乃。求められた可愛いを完璧に演じきるその姿、感服である。ああ、マジで、可愛かったな・・・。
この曲を歌い終えた後のMCの第一声が、「あー、しんどい。32歳。」である。なんとなく、「もったいねー!」と叫びたかった。分かる?今さっきまで、あんなに可愛かったのに!けど、だけど、それが、それでこそが南條愛乃なんだよー!悔しい、僕は悔しいよ南條さん!なんか分からず喜んじゃう自分が悔しいよ!
披露した可愛さを強引に剥がしていくかのごとく、化粧水の前に塗る化粧水の話を始める南條さん(男にはよく分からない)。どうやら、化粧水の前に塗る化粧水、プレ化粧水とでも呼称しよう、がとてもいい匂いでお気に入りだそう。実はそのプレ化粧水には、日本酒が入っているらしく、「すっごいいい匂い!」と感じていた匂いは日本酒によるものでしたという、いわく、「女子の匂いじゃない」。確かに。いや、待って!?ねえ、なんでこのタイミングでそんな話しちゃうの!?めっちゃ面白いやん!これが、南條愛乃である。
バンド紹介も相変わらず空気は”南條さん仕様”で、衣装を見せるために一周して見せたときのよちよち周りにドラムが響く光景は、とてもパシフィコを埋めた人のそれとは思えない。けれどその魅力が、彼女をパシフィコに連れてきた要因の一つでもあるのだ。ここでは、『NECOME』の作詞を担当したrinoさんの誕生日祝いも行われた。客席にいたrinoさんへ、キーの合わないバースデーソングを贈る南條さん。
そこから、『NECOME』を披露した。こういうの、いいなぁ。アルバムだけでは絶対に伝わらない空気感。rinoさんから贈られた曲を、その場で南條さんが歌って返すその感じ。南條さんが生で披露することによって、やっぱり歌により一層命が宿っていく。
続く『ツナグワタシ』は、南條さん自身の作詞。歌詞が本当に素敵。南條さんの強さが再び垣間見える。「実力の数値なんか目に見えないセカイで 単純思考・評論ゴッコ 今日は誰が勝ちましたか」。なんて強い言葉なんだろう。この歌詞はたぶん、僕みたいな凡人では、深く深いところまでは理解できない。南條さんほどの人だからこそ、自身の経験値から、こんな言葉たちを紡げるのだ。

ここで、会場アンケート。30代の客層を確認して、安堵する南條さん。愛おしい。20代は、日本の未来を託された。うーん、正直荷が重いですけど!日本の未来は、明るいらしい。
次に歌われたのは『ガーネット』(奥華子)。『Nのハコ』の特典カバーCDに収録されている中から、神奈川公演ではガーネットがチョイスされた。南條さんが好きで聴いてきた曲であるカバーチョイスは、彼女の過去を想像させる。
待ってました『Dear..』。飯田里穂さん作詞のこの曲は、本当に歌詞がストレートで、どちらかというとラブレターに近い。隅から隅まで飯田里穂。この歌詞の素直さが、りっぴーが誰からも好かれる所以なんだろうな。僕は『とある科学の超電磁砲』あたりからfripSideのラジオを聴いていたとは言え、『ラブライブ!』を通して南條さんをより好きになっていったので、やっぱり泣けてしまった。歌い終わったあとの南條さんの「いい曲ですね」の一言に、全部全部、詰まっていた。いい曲だよなぁ、ウンウン。
「あっという間すぎた」という南條さんのMC。本当にここまで、あっという間でした。

十六曲目を数える『ゼロイチキセキ』、エイシンヒカリである。3馬身以上引き離しての、余裕の圧勝だ!
『Simple feelings』で、会場は水色に染まる。この曲の裏テーマは、絢瀬絵里。言葉はいらないでしょう。ありがとう。
そして、いよいよ最後の曲は『今日もいい天気だよ』。更新の止まった、南條さんのブログタイトル。雨の憂鬱な気分も、みんなで共有できたら。それはもう、今日もいい天気だよって。20そこそこの南條さんが掲げたテーマ。「天才か」と自分自身につっこむ南條さん。そういう想いを秘めて、ずっとずっとやってきた南條さん。そういうところが、僕は、いやたぶん僕らは、大好きなんだよなぁ。南條さんは考えるのが大好きで、それは昔からずっと変わらず、だからこそこの曲の説得力は、あまりにもファンの心を打つものだった。

そこからアンコールを受けての、『Gerbera』はナンジョルノの産みの親、はるかひとみさん作詞の希望の歌。
二十曲目、本当にラストの『0-未来-』は、先日活動引退された、川田まみさん作詞の未来への曲。
「南條愛乃」を映し出すこの曲たちが、いつの間にか僕らへのメッセージにもなっていく。「一緒に前へ向かって頑張ろうね」という南條さんからの隠れたメッセージは、ライブだからこそ強く、強く感じられたものだと思う。
「南條愛乃」の過去、今、未来が詰められた『Nのハコ』は、ライブを通してより一層命を宿し、曲を贈ってくれた人たちへの南條さんからのメッセージが鮮明に込められ、そして何より、僕らへのメッセージ性をも帯びるようになった。
本当の意味で、ライブを通して『Nのハコ』は完成されたと感じる。とても素敵なライブだった。

最後に、「がちにいさんからみたなんちゃん」を載せておこうと思う。
jolno
うわあああああ!ドン滑りだぁあああああ!!!

セットリスト
1.きみからみたわたし
2.灰色ノ街ヘ告グ
3.Oh my holiday!
4.Recording.
5.ヒカリノ海
6.そらほしひとつ
7.ヒトビトヒトル
8.あなたの愛した世界
9.黄昏のスタアライト
10.きみを探しに
11.idc
12.NECOME
13.ツナグワタシ
14.ガーネット
15.Dear..
16.ゼロイチキセキ
17.Simple feelings
18.今日もいい天気だよ
アンコール
19.Gerbera
20.0-未来-




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