【ラブライブ!】最後の円陣が、どうしようもなく僕に刻み込まれた理由【μ's Final LoveLive!】

      2016/07/03

あれからもう、二週間が過ぎた。僕は間違いなく、あの瞬間、あの場所で、ファイナルを迎えていたと思う。それからどうやら、僕は宙ぶらりんになったらしい。らしいというのは、そう僕が自覚していないからである。かと言って、着地した自覚もない。ようやく、キャスト全員の今の想いを、ラジオやブログで、すべて聴きつくしたにも関わらず、だ。無理矢理に自分を客観的に見つめると、たぶん、果てしなく宙ぶらりんだ。いつ地に足がつくのかさえ分からない。ただ一つ言えるのは、自分で自分を客観的に、矛盾を生じさせながらそう評した時、暫くはそれでいいと、僕が納得したということだ。

初日の僕は、「絶対に泣いてやるもんか」という意気込みのもと、ライブに参加した。明日は絶対に泣いてしまう、涙で前が見えなくなる、だから今日だけは泣かない、泣いてやるもんか、誰が泣くかバーカ!と、子供顔負けの幼稚さを発揮して挑んだ。だがμ'sは、僕のその幼稚さを許してはくれなかった。キャストがステージに出てくる直前、穂乃果と東京ドームのイラストがスクリーンに映し出された瞬間、僕は泣いた。ライブが始まり、一曲一曲、歌って踊る彼女たちを見ては、泣いた。キャストのインタビューが流れるたびに、どうしようもなく、泣いた。号泣だった。久保ユリカさんなら、あの時の僕を「鬼泣き」と表現するだろうか。それとも、「ギャン泣き」だろうか。およそ花陽ちゃんの声優とは思えない、低い声であることは、確かだ。ここから一曲一曲語りたいところだが、僕の口から出る単語は大方、ヤバい、パナい、ペナい、ヤバスティックバイオレンス、あびゃあ、あびゃびゃ、アビャスティックバイオレンスのどれかだった。ときおり、腋、汗、ひかがみ、汗、腋、ひかがみ、汗、汗、飛んでこないかな、などとカオナシに毛が生えた程度の何かと化した僕は、挟まれるインタビューを見ては泣き、情緒不安定さを加速させた。

初日が終わり、帰り際にココイチでカレーを頼んだ。いつも通り、400グラムだった。僕は生まれて初めて、ココイチのカレーを残した。店を出るとき、僕の座っていたテーブルには、20グラムのお米が、だだっ広い真っ白な領土を独占していた。

二日目、その日は早いうちからドームに足を運び、輪ゴムを配った。にこりんぱなが、お守りにと望んだ、初代・にこりんぱなグッズだ。残った輪ゴムは本気で足にすべてつけてうっ血大作戦をもくろんでいたが、ありがたいことに多くの人が受け取ってくれた。なぜだか自然と、この日は冷静だった。ライブが始まってからも、涙が出ることはない。ただ、一曲終わるごとに、「この曲は、もう生で聴けないんだろうな」と、ボーッと考えていたように思う。それでも、本当に楽しかった。楽しかった。ただただ、楽しかった。ひたすらに、楽しかった。無神論者の僕が、ひたすら神に感謝した。そして、その時がやってきた。前日すでに、『MOMENT RING』の肩を寄せ合うシーンで魂を抜かれていた僕だったが、それ以上の衝撃が、待っていた。

人は何かを達成したとき、心の底から、互いに「ありがとう」と自分の気持ちを伝え合えるだろうか。照れくさかったり、言う必要がなかったり、あるいは儀式的だったり、鼓舞だったりするのが、常ではないだろうか。仮に交わし合うことがあったとして、それを第三者が感動をもって見ることは、本当にあるのだろうか。少なくとも、今までの僕はなかった。あの光景は、どんなに美しい景色よりも、たとえ世界遺産でも叶わない、美しすぎる、円陣だった。

『僕たちはひとつの光』で、円陣を組んだ9人。あるいは、18人。初日には、なかったシーンだ。

「ありがとう!」、「楽しかった!」、「みんな大好き!」。そうやって、泣きながら、笑顔で叫ぶμ'sが、そこにはいた。

えみつんは、自身のラジオでこう話した。

「(円陣を組んで互いに掛け合った言葉は)もちろん秘密です!」
―――『新田恵海の えみゅーじっく♪まじっく☆』第78回より

りっぴーも、次のように話す。

「最後に、ステージ上で私たちだけの空間を作りたいね、私たちだけで一回集まろう」
「皆さんには、円陣の中での会話は聞こえなかったと思うんだけど」
―――『人生道でも飯田里穂』第59回より

あの円陣は、演出でもなんでもない、彼女たちによる、彼女たちだけのものだった。しかし、あの時の円陣は、間違いなく、あの会場の高揚感の中でしか、生まれなかったものだろうとも思う。あの雰囲気があったからこそ、ステージ上の彼女たちは、恥ずかしがらず、ためらわず、自然と言葉にできたのだろう。ステージ裏で行うものとは、もはや比較にならない。あのステージの上で行われたからこそ、どうしようもなく、隅から隅まで、彼女たちの本心が通い合った瞬間だったはずだ。あまりの眩しさだった。あんなに眩しく、美しい光景があるとは、本気で思わなかった。

あの現実は、アニメ以上に、アニメ的だった。

限りなくアニメ的で、だけどこれ以上ないほど本物の空間として、僕の心に刻まれている。




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